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毒物劇物取扱者試験問題

問題37

ベタナフトールの鑑別方法として、適当なものは次のうちどれか。

	水溶液にアンモニア水を加えると、紫色の蛍光彩をはなつ。
	熱すると酸素を発生する。また、水溶液に酒石酸を多量に加えると、白色の結晶を生じる。
	ホルマリン一滴を加えたのち、濃硝酸一滴を加えると、ばら色を呈する。
	炭の上に小さな孔を作り、脱水炭酸ナトリウムの粉末とともに試料を吹管炎で熱灼すると、特有のニラ臭を生じ、冷えると赤色のかたまりとなる。これは、濃硫酸に溶け緑色を呈する。

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解　 説

選択肢(1)が適切です。

(2)熱すると酸素を発生する。また、水溶液に酒石酸を多量に加えると、白色の結晶を生じる。

【塩素酸カリウムの鑑識法】 熱すると酸素を発生して、塩化カリとなり、これに塩酸を加えて熱すると、塩素を発する。
水溶液に酒石酸を多量に加えると、白色の結晶性の重酒石酸カリウムを生ずる。

(3)ホルマリン一滴を加えたのち、濃硝酸一滴を加えると、ばら色を呈する。

【ニコチンの鑑識法】
ニコチンのエーテル溶液に、ヨードのエーテル溶液を加えると、褐色の液状沈殿を生じ、これを放置すると、赤色の針状結晶となる。
また、ニコチンにホルマリン1滴を加えたのち、濃硝酸1滴加えると、バラ色を呈する。
ニコチンの硫酸酸性水溶液に、ピクリン酸溶液を加えると、ピクリン酸ニコチンの黄色結晶を沈殿するが、この結晶の融点は218℃である。

(4)炭の上に小さな孔を作り、脱水炭酸ナトリウムの粉末とともに試料を吹管炎で熱灼すると、特有のニラ臭を生じ、冷えると赤色のかたまりとなる。これは、濃硫酸に溶け緑色を呈する。

【セレンの鑑識法】
(1)セレン化合物を石綿につけて還元炎中で熱すれば、セレン（赤色）にまで還元される。
(2)炭の上に小さな孔を作り、脱水炭酸ナトリウムの粉末とともに試料を吹管炎で熱灼すると、特有のニラ臭を出し、冷えると赤色のかたまりとなる。
これは濃硫酸に緑色に溶ける。

(劇)ベタナフトール$\ce{C10H7OH}$
β-naphthol
2-Naphthol

【化学式(示性式)】
$\ce{C10H7OH}$

【性状】
無色の光沢のある小葉状結晶あるいは白色の結晶性粉末で、かすかに石炭酸に類する臭気と、灼くような味を有する。
水には溶けにくく、熱湯にはやや溶けやすい。
アルコール、エーテル、クロロホルム等には得溶けるが、二硫化炭素には溶けにくく、脂肪油には熱時には溶けるがパラフィンには熱時も溶けにくい。

【鑑識法】
(1)水溶液にアンモニア水を加えると、紫色の螢石彩をはなつ。
(2)水溶液に塩素水を加えると白濁し、これに過剰のアンモニア水を加えると透明になる。溶液は最初緑色を呈し、のちに褐色に変化する。
(3)水溶液に塩化第二鉄溶液を加えると、かすかに類緑色を呈し、しばらくしてから白色絮状(はくしょくじょじょう)の沈殿を生ずる。

【毒性】
生理作用は石炭酸に似ている。
石炭酸より強い防腐剤である。
血液や腎臓に有害な作用をする。
皮膚から吸収されやすく、特に疥癬の場合は中毒しやすい。
中毒症状は嘔吐、人事不省になり、腎臓を刺激する。

【用途】
工業用として、染料製造原料に使用されるほか、防腐剤（医療用にも）、試薬などに用いられる。

データ

β－ナフトール
別名：２－ナフトール、ベタナフトール
C₁₀H₈O
劇物：（ベタナフトール及びこれを含有する製剤。１％を超えるもの）

【性状】
白色の結晶性粉末、塊状又はフレーク状で弱いフェノール臭がある。
融点122℃、水に溶けにくく、エーテル、エタノールに溶ける。
空気中では徐々に赤褐色に着色する。

漏 え い 時
風下の人を退避させる。
飛散した場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。
作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業をしない。
飛散したものは速やかに掃き集め、空容器に回収する。
ベタナフトールで汚染された土砂、物体は同様の措置をとる。

出 火 時
（周辺火災の場合）
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
（着火した場合）
粉末、二酸化炭素等を用いて消火する。
大規模火災の場合は水噴霧、泡を用いる。
消火作業の際には必ず保護具を着用する。
（消火剤）
粉末、二酸化炭素、水、泡
暴 露・接 触 時
人体に対する影響
（吸入した場合）
腎炎を起こし、はなはだしい場合には死亡することがある。
また肝臓を侵して黄疸が出たり、溶血を起こして血色素尿をみることもある。
（皮膚に触れた場合）
熱感やかゆみ、はれなどの皮膚炎や湿疹を起こす。
多量の場合、皮膚からも吸収され、吸入した場合と同様の中毒症状を起こすことがある。
（眼に入った場合）
粘膜を刺激して充血を起こす。
医師の処置を受けるまでの救急方法
（吸入した場合）
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移す。
呼吸困難又は呼吸が停止しているときは直ちに人工呼吸を行う。
（皮膚に触れた場合）
直ちに汚染された衣服やくつを脱がせる。
直ちに付着又は接触部を石けん水又は多量の水で十分に洗い流す。
（眼に入った場合）
直ちに多量の水で１５分間以上洗い流す。
注 意 事 項
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保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、防じんマスク

EPNの中毒症状

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