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毒物劇物取扱者試験問題
性状 アクリル酸
問題
アクリル酸の性状等に関する記述のうち、適切なものは次のうちどれか。
東京都 2017年
解 説
(1)無色又は白色の結晶である。化学式は$\ce{CH2=CHCONH2}$である。
選択肢(1)は不適切です。
これは、アクリルアミドの性状です。
(2)黄色の結晶である。化学式は$\ce{Cl(C6H4)NO2}$である。
選択肢(2)も不適切です。
これは、クロロニトロベンゼンの性状です。
(3)酢酸に似た刺激臭のある無色の液体である。化学式は$\ce{CH2=CHCOOH}$である。
選択肢(3)が適切です。
アクリル酸の性状は、酢酸に似た刺激臭のある無色の液体である。アクリル酸の化学式は$\ce{CH2=CHCOOH}$である。
(4)淡黄色又は淡褐色の液体である。光により徐々に分解し、褐色に変色する。化学式は$\ce{C6H5NHC2H5}$である。
選択肢(4)は不適切です。
これは、N-エチルアニリンの性状です。
アクリル酸[劇] Acrylic acid
$\ce{CH2=CHCOOH}$
【性状】
酢酸に似た刺激臭を有する液体。
引火点68℃。←性状情報が少ない場合、引火点も出題
水と混合する。
【用途】
酢酸ビニル等他のモノマーと共重合させたものは、不織布バインダー、フロッキー加工用バインダー、繊維の改質剤など。
ポリアクリル酸塩類は、高吸水性樹脂、増粘剤、凝集剤など。
【注意事項】
直射日光や高温にさらされると重合・分解等を起こし、アンモニア等を生成する。
吸入した場合:咳、咽頭痛、息切れ、灼熱感、息苦しさ、腐食性、肺水腫の症状は 2~3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。
劇物 (但し、10%を超えて含有するもの)
カルボン酸のひとつで、不飽和結合が1ヶ所(1価)の不飽和脂肪酸。
ビニル基を持つのでビニールの一つでもある。
分子式: $\ce{C3H4O2}$
示性式: $\ce{CH2=CHCOOH}$
$\ce{CH2=CHCOOH}$はビニル基$ \hspace{4pt} \ce{CH2=CH-}$ にカルボン酸 $\ce{R-COOH} \hspace{4pt} $がつくことが特徴的といえます。
IUPAC命名法では、2-プロペン酸(2-propenoic acid)
$\ce{CH2=CHCOOH}$
$\ce{CH2=CH-CH3}$プロペン propene プロピレン
$\ce{-COOH}$ カルボキシル基
常温常圧では無色透明の液体で、酢酸に似た特有の刺激臭がある。
水に容易に可溶。
紙おむつや生理用品の吸水性ポリマー等として使われるアクリルポリマーの原料であるほか、アクリル酸エステルの原料でもある。
アクリル酸は重合しやすく、重合するとアクリルポリマーとなるが、アクリル酸として市販されているものには重合防止剤が添加されている。
甚だしい吸入の場合、肺水腫(肺胞内に液体成分が貯留すること)を起こし呼吸困難に陥ることもある。
アクリルアミド[劇] Acrylamide
$\ce{CH2=CHCONH2}$
別名 アクリル酸アミド
【性状】
無色の結晶。
水に易溶。
エタノール、エーテル、クロロホルムに可溶。土木工事用の土質安定剤として用いられる。
【用途】★★
土木工事用の土質安定剤。水処理剤、紙力増強剤、接着剤等に用いられるポリアクリルアミドの原料。
【過去問題】
土木工事用の土質安定剤
【毒性】
高濃度のアクリルアミドを連続投与すると、全身の振戦、四肢麻酔、衰弱などをきたす。
【注意事項】
直射日光や高温にさらされると重合・分解などを起こし、アンモニア等を生成する。
IUPAC命名法 2-propenamide
示性式 $\ce{CH2=CHCONH2}$
長期又は反復ばく露による神経系、精巣の障害
$\ce{-NH2} \hspace{4pt}$ アミド(amido)
アミド基 $\ce{-CO-NH2}$
分子式$\ce{C3H8}$ プロパン propane
プロピル基 $\ce{CH3CH2CH}$
$\ce{CH3CH=CH2}$ 又は $\ce{ CH2=CH-CH3}$プロペン propene プロピレン
上の$\ce{CH3}$がアミド基 $\ce{-CO-NH2}$に置き換わったもの
2-クロロニトロベンゼン[劇]
$\ce{ClC6H4NO2}$ 2-Chloronitrobenzene
別名 オルト‐ニトロクロロベンゼン
【性状】
黄色の針状晶。
水に不溶。
エーテル、エタノール、ベンゼンに可溶。
【用途】
アゾ染料原料、顔料原料、農薬原料、ゴムの酸化防止剤原料、紫外線吸収剤原料、ポリウレタン樹脂原料。
【廃棄】
記述なし(新毒物劇物取扱の手引)
アフターバーナー及びクラスバーを具備した焼却炉で少量ずつ又は可燃性溶剤とともに焼却する。
IUPAC命名法 1-Chloro-2-nitrobenzene
ニトロ基 Nitro group $\ce{-NO2}$
クロロ基 Chloro $\ce{-Cl}$
$\ce{ \underbrace{ Cl}_{クロロ} \underbrace{C6H4}_{ベンゼン} \underbrace{NO2}_{ニトロ} }$
N-エチルアニリン[劇](N-Ethylaniline)
$\ce{C6H5NHC2H5}$
別名 エチルフェニルアミン Phenylethylamine
【性状】
淡黄色または淡褐色の液体。刺激臭。蒸気は空気より約2.4倍重い。水に難溶。
エタノール、エーテル、ベンゼン等に任意の割合で混和。引火点85℃。
【職場のあんぜん】
可燃性液体
熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。
接触により皮膚や眼に炎症をおこすおそれがある。
火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
濃硝酸と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
【用途】
有機合成原料、アゾ染料、トリフェニルメタン染料の重要な中間物。
【廃棄】
燃焼法
IUPAC命名法 N-Ethylanilin
Phenylethylamine
Phenyl + ethyl + amine
$\ce{NH3}$ アンミン ammine 配位子
アミン amine
$\ce{R-NH2}$(第一級アミン)、$\ce{R2-NH}$(第二級アミン)、$\ce{R3-N}$(第三級アミン)
$\ce{C6H5NH2}$ アニリン aniline
$\ce{-C2H5}$ エチル ethyl
フェニル phenyl
お名前について少し
アクリル acryl (Poly Methyl Methacrylate) $\ce{[CH2C(CH3)(COOH3)]_{n}}$は、ポリエステル、ナイロンとともに三大合成繊維のひとつです。
アクリルの原料は、石油から取れる「アクリロニトリル」です。
アクリロニトリル acrylonitrile(慣用名) はアクリル酸ニトリルの別名です。
アクロレイン acrolein は、慣用名で別名が、アクリルアルデヒド acrylaldehydeです。
ac、acr、acer …鋭い、苦い、酸っぱい(ラテン語)
olere ‥嗅ぐ(動詞)
acer + olere ⇒ acerolere ≒ acrolein (?)
アクリル酸 acrylic acid
acr(oleine)+ yl+ ic ⇒ acrylyic (acid)
アクリル acryl というのは、アクリド acrid(酸っぱい等の意味)から来た用語で、アクリル酸が特異な刺激臭を持つことから来ているようです。
アクリロニトリル acrylonitrile は、アクリル酸$\ce{CH2=CH - COOH}$から誘導される物質なので acrylo-
これに、シアノ基(ニトリル基)$\ce{R-CN}$を持つので -nitrile
これらをつなげて acrylo + nitrile ⇒ acrylonitrile
acrid とは (におい・味など)つんとする、からい、苦い、しんらつな、とげとげしい
acid とは すっぱい、酸味のある、気難しい、しんらつな、酸(性)の
acid-はラテン語【形】acidus「酸っぱい」が語源のようです。
“acrid”は、“acid(すっぱい、酸性の)”から変化した単語のようです。
アクリルacryl(acrid) には、化学の根本原理である -ic acid (-酸)に関わる重要な名称関係があるということを少し述べたかったのです。
とにもかくにも述べましたが、名前が記憶されますようにと思いながら、逆に混乱させてしまいました。
(アクリル樹脂は、1901年、ドイツの化学者Otto Röhm オット・レームが発明しました。1933年(独)メタアクリル樹脂(有機ガラス)の工業化がなされました。有機ガラスは、独軍ジェット爆撃機 Arado Ar 234 のコックピットに用いられました。)
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