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毒物劇物取扱者試験問題
催涙性 アクロレイン・アクリルニトリル
問題
催涙性を有しない物質として適切なものは次うちどれか。
オリジナル問題
解 説
(1)アクロレイン $\ce{CH2=CHCHO}$
選択肢(1)は不適切です。
アクロレインは、催涙性と強い揮発性を有します。。
(2)アクリルニトリル $\ce{CH2=CHCN}$
選択肢(2)も不適切です。
アクリルニトリルは、催涙性と粘膜刺激性を有します。
(3)アクリル酸 $\ce{CH2=CHCOOH}$
選択肢(3)が適切です。
アクリル酸は催涙性を有しません。重合が始まると爆発することがあります。
(4)クロルピクリン $\ce{CCl3 (NO2)}$
選択肢(4)は不適切です。
クロルピクリンは、催涙性と強い粘膜性刺激を有します。
(5)沃素 $\ce{I2}$
選択肢(5)は不適切です。
沃素は、催涙性(蒸気)と腐食性を有します。
アクリル酸[劇] Acrylic acid
$\ce{CH2=CHCOOH}$
【性状】
酢酸に似た刺激臭を有する液体。
引火点68℃。←性状情報が少ない場合、引火点も出題
水と混合する。
【用途】
酢酸ビニル等他のモノマーと共重合させたものは、不織布バインダー、フロッキー加工用バインダー、繊維の改質剤など。
ポリアクリル酸塩類は、高吸水性樹脂、増粘剤、凝集剤など。
【注意事項】
直射日光や高温にさらされると重合・分解等を起こし、アンモニア等を生成する。
吸入した場合:咳、咽頭痛、息切れ、灼熱感、息苦しさ、腐食性、肺水腫の症状は 2~3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。
アクリル酸タンクの爆発事故
アクリル酸タンクの攪拌不足による温度上昇によるアクリル酸の異常重合による爆発(2012.9.29)
劇物 (但し、10%を超えて含有するもの)
カルボン酸のひとつで、不飽和結合が1ヶ所(1価)の不飽和脂肪酸。
ビニル基を持つのでビニールの一つでもある。
分子式: $\ce{C3H4O2}$
示性式: $\ce{CH2=CHCOOH}$
$\ce{CH2=CHCOOH}$はビニル基$ \hspace{4pt} \ce{CH2=CH-}$ にカルボン酸 $\ce{R-COOH} \hspace{4pt} $がつくことが特徴的といえます。
IUPAC命名法では、2-プロペン酸(2-propenoic acid)
$\ce{CH2=CHCOOH}$
$\ce{CH2=CH-CH3}$プロペン propene プロピレン
$\ce{-COOH}$ カルボキシル基
常温常圧では無色透明の液体で、酢酸に似た特有の刺激臭がある。
水に容易に可溶。
紙おむつや生理用品の吸水性ポリマー等として使われるアクリルポリマーの原料であるほか、アクリル酸エステルの原料でもある。
アクリル酸は重合しやすく、重合するとアクリルポリマーとなるが、アクリル酸として市販されているものには重合防止剤が添加されている。
甚だしい吸入の場合、肺水腫(肺胞内に液体成分が貯留すること)を起こし呼吸困難に陥ることもある。
アクロレイン[劇]Acrolein $\ce{CH2=CHCHO}$(示性式)
別名 アクリルアルデヒド
【性状】
無色または帯黄色の液体。刺激臭。
水に可溶。エーテルに溶解。(安全データシートより。過去出題あり)
引火性。
熱または炎にさらすと、分解して毒性の高い煙を発生する。
本薬物の火災時の消火法は、二酸化炭素を用いる。
【三省堂】空気中で容易に酸化されてアクリル酸になる。
【用途】
各種薬品の合成原料のほか、医薬、アミノ酸、香料、染料、殺菌剤の製造の原料。
アクロレイン自体としての用途は、検知剤(冷凍機)、殺菌剤(水や下水)など。
【毒性】★
眼と呼吸系を刺激し、その催涙性を利用して化学戦用催涙ガスとしても使用されていた。また皮膚を刺激し、気管支カタルや結膜炎を起こさせる。
眼と呼吸器系を激しく刺激する。また、皮膚を刺激し、気管支カルタや結膜炎を起こさせる。
【注意事項】
運搬時には少量の重合防止剤(ハイドロキノンなど)添付および窒素シールがされている。
【化学的安定性】
・常温常圧で化学変化を起こす。
・爆発性過酸化物を生成することがある。
【危険有害反応可能性】
・重合することがあり、火災、爆発の危険を伴う。
・強酸、強塩基、強酸化剤と反応し、火災、爆発の危険性をもたらす。
【貯蔵】★★
火気厳禁。非常に反応性に富む物質なので、安定剤を加え、空気を遮断して貯蔵する。
【過去問題】
反応性に富み、催涙性もあるので、安定剤を加え、密栓して貯蔵する。
非常に反応性に富む物質のため、安定剤を加え、空気を遮断して貯蔵する。
アクロレイン
$\ce{CH2=CHCHO}$
$\ce{ \underbrace{ CH2=CH }_{ビニル基} \underbrace{ CHO}_{アルデヒド基} }$
acrylaldehyde ⇒ acryl+aldehyde
アクリル酸 $\ce{CH2=CHCOOH}$
アルデヒド基 $\ce{-CHO}$
カルボキシ基 $\ce{-COOH}$
ビニル基 $\hspace{4pt} \ce{CH2=CH-}$
アクリルニトリル[劇]$\ce{CH2=CHCN}$
別名 アクリロニトリルAcrylonitrile シアン化ビニル[劇]
【性状】
無臭又は微刺激臭のある無色透明の蒸発しやすい液体。
無色~淡黄色の液体、刺激臭(職場の安全サイト)
水に可溶。
有機溶媒に任意の割合で混和。
青酸は0.0003%の割合で含有する。
火災、爆発の危険性が強い。
【用途】★★
化学合成上の主原料で、合成繊維、合成ゴム、合成樹脂、塗料、農薬、医薬、染料などの製造の需要な原料。
【過去問題】
合成ゴムや構成樹脂の原料
【毒性】
粘膜刺激作用が強く、気道、眼、消化器を刺激して、流涙その他の粘膜よりの分泌を促進。
眼に入った場合
化学物質による眼の薬傷(化学性腐蝕): 角膜のかすみ、化学熱傷、痛み、催涙、潰瘍、視力障害又は視力損失などの症状。
【貯蔵】★★
タンクまたはドラムの貯蔵所は炎や火花が生じるような器具から離しておく。
硫酸や硝酸など強酸と激しく反応するので、強酸とも安全な距離を保つ必要がある。
すべての貯蔵場所は防火性で適当な換気装置を備え、特に換気には注意し、屋内で取扱う場合には下層部空気の機械的換気が必要である。
できるだけ直接空気に触れることを避け、窒素のような不活性ガスの雰囲気の中に貯蔵する。
【過去問題】
硫酸など強酸と激しく反応するので強酸とは安全な距離を保ち保管する。
分子式は $\ce{C3H3N}$。IUPAC命名法 2-プロペンニトリル
ビニル基に$\ce{-CN}$ が結合したのが、アクリロニトリル
ニトリル:シアノ基($\ce{R-CN}$)を持つ有機物のこと。
ビニル基:$\ce{CH2=CH}-X$構造をもつ。
クロルピクリン[劇]$\ce{CCl3NO2}$
別名 クロロピクリン(Chloropicrin)
【性状】★★
純品は無色の油状体、市販品は通常微黄色を呈している。
催涙性、強い粘膜刺激臭を有する。
水に不溶。
アルコール、エーテル等には可溶。
熱には比較的不安定で、180℃以上に熱すると分解するが、引火性はない。
酸、アルカリには安定。
金属腐食性が強い。
【用途】★★★
土壌燻蒸剤(土壌病原菌、センチュウなどの駆除)。
【毒性】
吸収すると、分解されずに組織内に吸収され、各器官が障害される。
血液中でメトヘモグロビンを生成、また中枢神経や心臓、眼結膜を侵し、肺も強く障害する。
療法は、酸素吸入をし、強心剤、興奮剤を飲ませる。
【過去問題】
血液に入ってメトヘモグロビンをつくり、各器官に障害を与える。中枢神経や心臓、眼結膜を侵し、肺にも強い障害を与える。
吸入すると、分解されず組織内に吸収され、各器官に障害を与える。血液に入ってメトヘモグロビンをつくり、また、中枢神経や心臓、眼結膜をおかし、肺にも強い障害を与える。
吸入すると、分解されず組織内に吸収され、各器官に障害を与える。血液に入ってメトヘモグロビンを作り、また中枢神経や心臓、眼結膜をおかし、肺にも相当強い障害を与える。
【応急】★★★
少量では、漏えいした液は布で拭き取るか、またはそのまま風にさらして蒸発させる。
多量では、漏えいした液は土砂等でその流れを止め、多量の活性炭または水酸化カルシウムを散布して覆い、至急関係先に連絡し専門家の指示により処理する。
【過去問題】
風下の人を退避させる。必要があれば水で濡らした手拭い等で口及び鼻を覆う。漏えいが少量の場合は、漏えいした液は布で拭き取るか、またはそのまま風にさらして蒸発させる。
漏えいが少量の場合は、漏えいした液は布で拭き取るか、またはそのまま風にさらして蒸発させる。多量では、漏えいした液は土砂等でその流れを止め、多量の活性炭または水酸化カルシウムを散布して覆い、至急関係先に連絡し専門家の指示により処理する。
【鑑識】★★★
水溶液に金属カルシウムを加えこれにベタナフチルアミンおよび硫酸を加えると、赤色の沈殿を生成。
アルコール溶液にジメチルアリニンおよびブルシンを加えて溶解し、これにブロムシアン溶液を加えると、緑色ないし赤紫色を呈する。
【廃棄】
分解法:少量の界面活性剤を加えた亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合溶液中で、攪拌し分解させた後、多量の水で希釈して処理する。
【貯蔵】
記述なし
【安定性】酸に安定、アルカリに不安定。
加熱や光の影響下で分解して、有毒ヒュームのニトロシルクロリドとホスゲン、窒素酸化物を発生する。
加熱、衝撃による爆発を避ける。
加熱、光により分解する有毒ガスの発生を避ける。
【危険有害反応可能性】アルコール性水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、 臭化プロパギル、アニリンと接触、過熱すると激しく反応する。
【避けるべき条件】加熱、衝撃、光
【混触危険物質】アルコール性水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、 臭化プロパギル、アニリン
水の存在下で、多くの金属を侵す。
【危険有害な分解生成物】燃焼した時、有害ガス(一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、塩化水素、ホスゲン)を発生する。
別名 トリクロロニトロメタン(trichloronitromethane)
メタンの水素3個(トリ;3)が塩素$\ce{Cl}$(クロロ)に、残りの1個がニトロ基$\ce{ - NO2}$ に置き換わった構造を持った劇物です。
沃素[劇]ヨード iodine $\ce{I2}$
【性状】
黒灰色、金属様の光沢ある稜板状結晶。
熱すると紫菫色の蒸気を生成するが、常温でも多少不快な臭気を有する蒸気を放って揮散する。
水には黄褐色を呈して難溶、ヨードカリウムあるいはヨード水素酸を含有する水には可溶。
アルコール、エーテルには赤褐色を呈して可溶、クロロホルム、二硫化炭素には紫色を呈して可溶。
酸化、殺菌作用は、塩素や臭素に劣る。
臭い:刺激臭[職場のあんぜんサイト]東京都はあんぜんサイトと安全データシートから出題する傾向がある。★★★
催涙性。 本物質は、眼および気道を重度に刺激する。蒸気を吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある。(ICSCデータベース)
【用途】★★★
ヨード化合物の製造、分析用、アニリン色素の製造、写真用など(消毒刺激剤として医薬用にも用いられる)。
【毒性】★★★
皮膚に触れると褐色に染め、その揮散する蒸気を吸入すると、めまいや頭痛を伴う一種の酩酊(いわゆるヨード熱)を起こす。
【鑑識】★★★
デンプンと反応して藍色(ヨードデンプン)を呈し、これを熱すると退色し、冷えると再び藍色を現し、さらにチオ硫酸ナトリウムの溶液と反応すると脱色する。
【貯蔵】
容器は気密容器を用い、通風の良い冷所に保管する。
腐食されやすい金属、濃塩酸、アンモニア水、アンモニアガス、テレビン油などをは、なるべく引き離しておく。
【過去問題】
容器は気密容器を用い、通風のよい冷所に貯蔵する。腐食されやすい金属、濃塩酸、アンモニア水、アンモニアガス、テレビン油などをは、なるべく引き離しておく。
容器は気密容器を用い、通風のよい冷所に保存する。腐食されやすい金属、濃塩酸、アンモニア水などとは、なるべく引き離しておく。
【解毒】
澱粉溶液
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