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毒物劇物取扱者試験問題

問題33

臭素の性状として、適切なものは次のうちどれか。

	刺激性の臭気をはなって揮発する赤褐色の重い液体で、強い腐食作用をもつ。
	無色透明な液体で、特異な臭気がある。蒸気は空気より重く引火しやすい。
	無色の結晶で、きわめて水に溶けやすく、強い潮解性がある。
	濃い藍色の結晶で、風解性がある。150度で結晶水を失って、白色の粉末となる。
	金属光沢をもつ銀白色の金属で、常温では蠟（ろう）のような硬度を持っているが、低温ではもろい。

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解　 説

選択肢(1)が適切です。

臭素のキーワードは、”刺激臭”、”赤褐色の（重い）液体”、”強い腐食作用”、”酸化力が強い”、”漂白作用を持つ”等などですね。

臭素 bromine 劇物

Br₂



性状
刺激性の臭気を放って揮発する赤褐色の重い液体で、比重3.12(20℃)、沸点58.8℃。
アルコール、エーテル、水に溶け、ことにブロムカリの水溶液にはきわめてよく溶ける。
引火性、可燃性はないが、強い腐食作用をもち、濃塩酸にあうと高熱を発し、また乾草や繊維類のような有機物と接触すると、火を発することがある。

鑑識法
外観と臭気によって、容易に鑑別することができる。
また澱粉糊液を燈黄色に染め、ヨードカリ澱粉紙を藍変し、フルオレッセン溶液を赤変する。

(2)無色透明な液体で、特異な臭気がある。蒸気は空気より重く引火しやすい。

の性状を関連性がある物質を推測してみます。

a.エーテル臭のある無色の液体または気体で蒸気は空気より重く、引火性を有する。
⇒エチレンオキシド[劇]$\ce{C2H4O}$

b.無色でクロロホルムに似た刺激臭のある液体で蒸気は空気より重く、引火しやすい。
⇒エピクロルヒドリン[劇]$\ce{C3H5ClO}$

c.無色の揮発性の液体で、エーテル様のにおいがある。蒸気は空気より重く引火しやすい。 ⇒クロルエチル[劇]$\ce{C2H6Cl}$

d.特異臭のある無色の揮発性液体で蒸気は空気より重く、引火性を有する。
⇒酢酸エチル[劇]$\ce{C4H5Cl}$

e.無色透明の液体、果実様の芳香があり蒸気は空気より重く、引火性を有する。
⇒$\ce{CH3COOC2H5}$

f.無色透明、可燃性のベンゼン臭を有する液体で、蒸気は空気より重く引火しやすい。
⇒トルエン[劇]$\ce{C6H5CH3}$

無色透明、揮発性の液体で特異な香気を有し蒸気は空気より重く引火しやすい。
⇒メタノール[劇]$\ce{CH3OH}$

無色の液体でアセトン様の芳香を有し蒸気は空気より重く引火しやすい。
⇒メチルエチルケトン[劇]$\ce{C2H5COCH3}$

(3)無色の結晶で、きわめて水に溶けやすく、強い潮解性がある。

の性状を関連性がある物質を推測してみます。

a.無色斜方または正方晶結晶で水に可溶し潮解性を有する。
⇒一水素二弗化アンモニウム[劇]$\ce{F2H5N}$ 、$\ce{NH4+}$ $\ce{HF2-}$

b.無色無臭の正方単斜状の結晶で水に易溶し潮解性を有する。
⇒塩素酸ナトリウム[劇]$\ce{NaClO3}$

c.無色の結晶。水および有機溶媒に易溶。潮解性。
⇒酢酸タリウム[劇] $\ce{Tl(CH3COO)}$

d.無色の結晶。水に可溶。濃硫酸に可溶。エタノール、アセトンに難溶。潮解性。
⇒硝酸バリウム[劇]$\ce{Ba(NO3)2}$

e.無色、潮解性の単斜晶系の結晶。水に可溶。
⇒モノクロル酢酸[劇物]$\ce{CH2ClCOOH}$

(4)濃い藍色の結晶で、風解性がある。150度で結晶水を失って、白色の粉末となる。

の性状を関連性がある物質を推測してみます。

濃い藍色（暗い青）の結晶。150℃で結晶水を失って、白色の無水硫酸銅の粉末を生成。
⇒硫酸第二銅[劇] $\ce{CuO4S・5H2O}$

(5)金属光沢をもつ銀白色の金属で、常温では蠟（ろう）のような硬度を持っているが、低温ではもろい。

の性状を関連性がある物質を推測してみます。

a.金属光沢を持つ銀白色の軟らかい固体。
⇒カリウム[劇]　$\ce{K}$

b.金属光沢をもつ銀白色の軟らかい固体である。
⇒ナトリウム[劇] $\ce{Na}$

これらが考えられますね。

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