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毒物劇物取扱者試験問題

問題20

酸と塩基に関する次の記述のうち、組み合わせとして、適切なものどれか。

A：NH₃は一価の塩基、CH₃COOHは一価の酸である。
B：同じ濃度の酸では電離度の大きい酸ほど強い酸である。
C：H₂SO₄は二価、H₃PO₄は三価の酸であるから、H₃PO₄の方が強い酸である。
D：Fe(OH)₃やCu(OH)₂は水に溶けず、アルカリ性を示さないから、塩基とは言えない。

	AとB
	AとD
	BとC
	BとD
	CとD

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解　 説

選択肢(1)が適切です。

基礎化学に関する問題です。

A：NH₃は一価の塩基➡正解、CH₃COOHは一価の酸である。➡正解
ゆえに〇

アンモニアは水中で電離すると、

$\ce{NH3 + H2O → NH4^+ + OH^-}$

となります。

このとき$\ce{NH3}$は$\ce{H2O}$から水酸化物イオン$\ce{H^+}$を受け取ってアンモニウムイオン$\ce{NH4^+}$となっています。

したがって、$\ce{NH3}$は一価の塩基になります。

繰り返しになりますが、

$\ce{H2O}$から$\ce{H^+}$を奪うことによって結果として水酸化物イオン$\ce{OH^-}$が出てきます。

B：同じ濃度の酸では電離度の大きい酸ほど強い酸である。➡正しい
ゆえに〇

C：H₂SO₄は二価、H₃PO₄は三価の酸であるから、H₃PO₄の方が強い酸である。➡×
リン酸H₃PO₄のは弱酸、硫酸H₂SO₄は強酸です。

D：Fe(OH)₃やCu(OH)₂は水に溶けず、アルカリ性を示さないから、塩基とは言えない。➡×

塩基とは、水溶液中で電離して水酸化物イオン(OH^-)を出す物質を言います。

その水溶液はアルカリ性を示し、赤色リトマス試験紙を青変させます。

水酸化鉄Fe(OH)₃は、水にはほとんど溶けませんが、塩化アンモニウム水溶液や酸には溶けます。

水酸化銅Cu(OH)₂は、水に不溶、酸、アンモニアに可溶です。

水酸化鉄Fe(OH)₃は3価の弱塩基、水酸化銅Cu(OH)₂は2価の弱塩基です。

酸一覧
強酸電離度大	価数	弱酸電離度小
HCl（塩化水素） HBr（臭化水素） HI（ヨウ化水素） HNO3（硝酸）	1価	HF（フッ化水素） CH3COOH（酢酸）
H2SO4（硫酸）	2価	H2CO3（炭酸） H2S（硫化水素） H2C2O4（シュウ酸）
	3価	H3PO4（リン酸）*1
塩基一覧
強塩基電離度大	価数	弱塩基電離度小
NaOH（水酸化ナトリウム）	1価	NH3（アンモニア） ($\ce{NH3 + H2O → NH4^+ + OH^-}$)
Ca(OH)2（水酸化カルシウム）	2価	Cu(OH)2（水酸化銅） Mg(OH)2（水酸化マグネシウム） Zn(OH)2（水酸化亜鉛）
	3価	Al(OH)3（水酸化アルミニウム） Fe(OH)3（水酸化鉄）

*1：純粋なリン酸$\ce{H3PO4}$は無色の結晶で、潮解性があり、水によく溶けます。

その水溶液は、中程度の強さの酸性を示します。

しかし、リン酸$\ce{H3PO4}$は分類上は弱酸に分類され、3段階に電離します。

二酸化炭素と石灰水

弗化水素

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