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毒物劇物取扱者試験問題

問題35

フッ化水素酸の貯蔵方法として、適切なものは次のうちどれか。

	ガラスを腐食するので、ガラスは避けてポリエチレン容器に貯蔵する。
	空気に触れると発火しやすいので、容器に入れた水の中に沈めて貯蔵する
	反応性に富む物質なので、火気厳禁とし、安定剤を加え空気を遮断して貯蔵する。
	空気中の二酸化炭素と水分を吸収しやすいので、ガラス容器に密栓をして貯蔵する。
	空気中の酸素や水分と反応するので、石油の中に入れ、水分の混入や火気を避けて貯蔵する。

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解　 説

毒物及び劇物の性質及び貯蔵その他取扱方法（一般）からの出題です。

選択肢(1)が適切です。

(1)ガラスを腐食するので、ガラスは避けてポリエチレン容器に貯蔵する。

フッ化水素酸[毒]です。

(2)空気に触れると発火しやすいので、容器に入れた水の中に沈めて貯蔵する。

黄リン[毒]です。

(3)反応性に富む物質なので、火気厳禁とし、安定剤を加え空気を遮断して貯蔵する。

アクロレイン[劇]です。

火気厳禁です。

非常に反応性を富む物質であるため、安定剤を加え、空気を遮断して貯蔵します。

(4)空気中の二酸化炭素と水分を吸収しやすいので、ガラス容器に密栓をして貯蔵する。

水酸化ナトリウム[劇]または水酸化カリウム[劇]です。

密閉保存（二酸化炭素と水を強く吸収する）。素手で触れない。

(5)空気中の酸素や水分と反応するので、石油の中に入れ、水分の混入や火気を避けて貯蔵する。

水酸化ナトリウム、水酸化カリウムです。

フッ化水素酸 hydrofluoric acid は猛毒で悲惨な毒物です。

口から飲んでも危険ですし、皮膚に付着しても腐食して体内に入ります。

皮膚に接触すると、体内に容易に浸透する。

フッ化水素は体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じさせる反応を起こすので、骨を侵す。

濃度の薄いフッ化水素酸が付着すると、数時間後にうずくような痛みに襲われる。

フッ化水素酸の事件・事故は、悲惨なものでWeb上にも風化させないためなのか、いまだに過去の記録が残されています。

フッ化水素

概要

フッ化水素(HF)は25℃では気体で、その水溶液はフッ化水素酸(フッ酸)と呼ばれる。

フロンガス、フッ素化合物の原料となるほか、ガラスの艶消し、半導体のエッチング、金属の酸洗いなど、工業的に広く用いられている。

弱酸ながらきわめて強い腐食性があり、その作用は強酸の硝酸や硫酸よりも強い。

また、曝露経路にかかわらず、体内に容易に吸収され、フッ素イオンとして低カルシウム血症等の全身症状を引き起こし、死亡する例もあることがよく知られている。

曝露した場合は汚染除去ののち、充分な循環管理・血中のカルシウム濃度の測定を行い、グルコン酸カルシウムの投与を積極的に行う。

［毒性］

経口：最小致死量1.5g(または20mg/kg)、9％溶液15mLでの死亡報告がある。
吸入：眼と鼻の刺激発現濃度5ppm(5mg/L)

経皮：100％HF体表2.5％曝露で10時間後に死亡した例がある。
（血中フッ素濃度3mg/L，カルシウム濃度2.2mg/dL)

［中毒学的薬理作用］

・粘膜への刺激と腐食作用

フッ化水素は透過性が高く、他の酸に比べて組織の深部まで浸透する。

・フッ素イオンによる作用

細胞内で遊離したフッ素イオンがカルシウムやマグネシウムと結合する、 あるいは直接的に作用することにより、全身毒性を示す。

［症状］

腐食による局所症状とフッ素イオンによる全身症状の両者が発現する。
腐食による局所症状(化学損傷)

・傷害の程度は濃度に依存する。
・症状の特徴は激しい痛み、凝固による白色化と水疱形成であり、治療しないと組織の破壊が進行する。

フッ素イオンによる全身症状

・経皮、吸入など、経口以外の局所曝露でも速やかに浸透、体循環に進入し、全身症状が出現し、死亡することもめずらしくない。

・低カルシウム血症、低マグネシウム血症、高カリウム血症
・代謝性アシドーシス
・循環器系症状(心筋障害、不整脈、心室細動)
・消化器系症状(悪心、嘔吐、下痢、消化管出血、腹痛)
・神経系症状(筋力低下、疲労、中枢神経抑制、痙攣など)
経口：嘔吐、下痢、腹痛、流涎、嚥下困難、吐血を伴う出血性胃腸炎、出血性肺水腫。喉頭浮腫の結果、気道閉塞がおこることもある。
低濃度の場合でも1～7時間以内に全身症状を引き起こす。
致死的な場合は循環不全や呼吸不全により2～4時間で死亡する。
吸入：重篤な咽喉頭刺激、咳、呼吸困難、チアノーゼ、肺水腫
急速に出血性肺水腫が出現し、30分～150分で死亡することがある。

アクロレイン過去問題

茨城県・用途

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