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毒物劇物取扱者試験問題
演習No.006
問題 40
解 説
今回のテーマは、劇物であるカリウム($\text{K}$)の鑑識法(見分けるための試験法)に関する問題です。
カリウムは、特定の光を放つ性質があり、これを利用して特定することができます。
出題のねらい:カリウムの炎色反応(鑑識法)の識別
この問題は、劇物であるカリウムを他の物質と区別するための、最も特徴的で有名な物理試験(炎色反応)を正確に識別できるかを確認するためのものです。
鑑識法(前提条件):炎色反応とは?
- 炎色反応とは、特定の金属の化合物(ナトリウム、カリウム、銅など)を炎の中に入れると、その金属原子特有の色の光を放つ現象のことです。この色を見ることで、物質の種類を特定できます。
毒物・劇物の分類
- カリウム(金属カリウム)は、劇物に指定されています。
(1) 白金線につけて熱すると、炎が黄色となる。この炎は、コバルトの色ガラスをとおしてみると見えなくなる。
選択肢 (1)は、不適切です。
- 理由:
炎色反応で黄色を呈するのは、ナトリウム ($\text{Na}$) の化合物です。 - ナトリウムは、私たちの身の回りに非常に多く存在するため(塩、水道水など)、試験する物質に不純物としてわずかに含まれているだけでも、炎全体を強い黄色に染めてしまいます。
- コバルトの色ガラス(青いガラス)は、この強い黄色の光だけを遮断する役割があり、そのガラスを通すと黄色が見えなくなります。
- 不適切選択肢に該当する毒物・劇物例:ナトリウム(劇物)の鑑識法(炎色反応)。
(2) 白金線につけて熱すると、炎が青紫色となる。この炎は、コバルトの色ガラスをとおしてみると紅紫色となる。
選択肢 (2)は、適切です。
- 理由:これは、カリウム ($\text{K}$) の炎色反応を正確に説明しています。
- 炎の色:カリウムの化合物は、炎の中で青紫色(または紫色)の光を放ちます。
コバルトガラスの使用:カリウムの青紫色は、しばしば共存するナトリウムの強い黄色に隠されて見えにくくなります。そこで、コバルトの色ガラスを通して観察すると、ナトリウムの黄色光が遮断され、カリウム特有の鮮やかな紅紫色(赤紫色)がはっきりと確認できます。 - この「コバルトガラスを通す」工程まで含めて、カリウムの炎色反応の鑑識法となります。
(3) 水溶液にさらし粉溶液を加えて煮沸すると、刺激臭を発する。
選択肢 (3)は、不適切です。
- 理由:この記述は、ピクリン酸(劇物)の鑑識法(クロルピクリン生成による刺激臭)として、この試験で問われる特有の知識です。
- 不適切選択肢に該当する毒物・劇物例:ピクリン酸(劇物)。
(4) 熱すると酸素を生成して塩化物となる。
選択肢 (4)は、不適切です。
- 理由:これは、カリウム自体がこの反応を起こすのではなく、塩素酸カリウム(劇物)などの酸化剤が分解する際の反応の説明に近いです。
- 不適切選択肢に該当する毒物・劇物例:塩素酸カリウム(劇物)の加熱分解。
まとめ総括
この問題の適切な記述は、選択肢 (2) です。
【カリウムの鑑識法に関する最重要ポイント】
- 鑑識試薬:炎(加熱)、白金線を使用。
- 炎の色:青紫色(見えにくいことが多い)。
- 確認方法:コバルトの色ガラスを通すと、紅紫色の光として確認できる。
カリウムとナトリウムは、その炎色反応がセットで出題されることが多いです。「ナトリウムは黄色」「カリウムは紅紫色(コバルトガラス使用)」と、色と方法をセットで覚えておきましょう。

なんで光をだすのと思った学習者の方へ
炎色反応で見える光は、まさに 電子が軌道(エネルギー準位)を移動するときに放出するエネルギー そのものです。
ここをしっかり理解すると、炎色反応の仕組みが一気にクリアになります。
🔥 炎色反応で何が起きているのか(本質)
✔ 1. 電子が高いエネルギー状態へ“励起”される
カリウムイオン($\ce{K⁺}$)を炎の中に入れると、熱エネルギーを受けて電子が
\[ \text{低いエネルギー準位} \rightarrow \text{高いエネルギー準位} \]
へジャンプします。
これを 励起 といいます。
✔ 2. 電子が元の軌道に戻るときに光を出す
励起された電子は不安定なので、すぐに元のエネルギー準位に戻ります。
そのときに余ったエネルギーを
\[ \text{光(電磁波)} \]
として放出します。
✔ 3. 放出される光の“色”は、エネルギー差で決まる
電子が戻るときのエネルギー差 $ΔE$ は、
\[ \Delta E = h\nu \]
で決まり、これが光の周波数(=色)を決めます。
- $ΔE$ が大きい → 高エネルギー → 青・紫
- $ΔE$ が小さい → 低エネルギー → 赤・橙・黄
カリウムの場合、この $ΔE$ が 青紫色(約 404 nm 付近) に相当するため、炎色反応で青紫色が見えるわけです。
🔍 では、なぜコバルトガラスを使うのか?
ナトリウムは非常に強い黄色(589 nm)を出します。
この光は圧倒的に強いので、カリウムの青紫色がかき消されてしまいます。
そこでコバルトガラスを使うと、
- 黄色光(ナトリウム)を吸収
- 青紫光(カリウム)を透過
するため、カリウムの色だけが強調されて見えるという仕組みです。
🎯 まとめ
電子が軌道を移動するとき、青紫色の波長に相当するエネルギーを発している。
- 電子が高い軌道から低い軌道へ戻るとき
- そのエネルギー差に相当する光(青紫色)を放出する
- それが炎色反応で見える色になる
という流れです。
カリウムの話なのになぜナトリウムが出てくるのと思った方へ
「なぜカリウムの炎色反応をするとき、ナトリウムが“共存している”ことが多いのか」には、実は 化学実験の現場でほぼ避けられない理由 がいくつもあります。
🔍 なぜナトリウムが“共存”してしまうのか
🧂 1. ナトリウムは環境中に“ほぼ必ず”存在するから
ナトリウムは地球上で非常に多い元素で、次のような形で常に周囲にあります。
- 手の汗(塩化ナトリウム)
- 空気中の微量の塩分
- ガラス器具に付着した微量の塩
- 水道水に含まれるナトリウムイオン
- 試薬瓶の口に付着した微量の塩
つまり、実験器具をどれだけ洗っても、ナトリウムを完全にゼロにするのはほぼ不可能 です。
🔥 2. ナトリウムの炎色は“異常に強い”ため、微量でも目立つ
ナトリウムの炎色(589 nm の黄色)は、他の元素と比べて桁違いに強いです。
- カリウムの青紫色 → 弱い
- ナトリウムの黄色 → とても強い(微量でも見える)
そのため、ほんの微量のナトリウム汚染でも、カリウムの色をかき消してしまう のです。
🧪 3. 試薬そのものに微量のナトリウムが混ざっていることがある
市販のカリウム塩($\ce{KCl}$、$\ce{K₂CO₃}$ など)は、製造過程で微量のナトリウム塩を含むことがあります。
これは不純物としてごく普通のことで、
炎色反応のような“光の強さ”を扱う実験では無視できない 量になります。
🧫 4. 実験器具の汚染が避けられない
炎色反応で使う白金線・ニクロム線は、次のような理由でナトリウムが残りやすいです。
- 洗浄しても完全に除去できない
- 空気中の塩分がすぐに付着する
- 手で触ると汗のナトリウムが付く
そのため、カリウムを観察するときには必ずナトリウムの黄色が混じる と考えるのが普通です。
🎯 だからコバルトガラスが必要になる
ナトリウムの黄色は強すぎて、カリウムの青紫色を隠してしまいます。
そこでコバルトガラスを使うと、
- ナトリウムの黄色光 → 吸収される
- カリウムの青紫光 → 透過する
という性質により、カリウムの炎色がはっきり見えるようになります。
✨ まとめ
カリウムの炎色反応でナトリウムが“共存”してしまう理由は、
- ナトリウムは環境中に普遍的に存在する
- ナトリウムの炎色が非常に強く、微量でも目立つ
- 試薬や器具に微量混入している
- 完全に除去するのがほぼ不可能
という、実験上避けられない事情によるものです。
なぜナトリウムの光だけ強いと思った方へ
ナトリウムの炎色(589 nm の黄色)が 他の元素より圧倒的に強い のには、量子力学的にも実験的にも、はっきりした理由があります。
これは「ナトリウムだけが特別に光りやすい構造を持っている」ためです。
🔥 ナトリウムの炎色が異常に強い理由(本質)
🟡 1. 589 nm の “D線” が非常に強い遷移だから
ナトリウムの炎色の正体は、有名な D線(589.0 nm と 589.6 nm) です。
D線(589.0 nm と 589.6 nm)は、ナトリウム原子(Na)が発する黄色の光で、D2線(589.0 nm)とD1線(589.6 nm)という非常に近い2本の輝線から構成されるナトリウムの共鳴線であり、旋光計や屈折計の基準光源として、また天文学での元素分析に利用される重要なスペクトル線です。この2本の線は中心波長589.3 nm付近で発光し、特に低圧ナトリウムランプでは単色光源として使われます。
この遷移は、
- 電子のエネルギー準位の差がちょうど可視光の黄色に一致
- 遷移確率(光を出す確率)が非常に高い
- 2本の線がほぼ同じ波長で重なり、強度が倍増
という特徴があります。
つまり、
「出やすい光」+「重なって強く見える」
という二重の理由で、異常に明るく見えるのです。
🔥 2. ナトリウムの最外殻電子が“1個だけ”で励起されやすい
ナトリウム$\ce{_{11}Na}$の電子配置は
\[ 1s^2\,2s^2\,2p^6\,3s^1 \]
最外殻の 3s の電子が1個だけ なので、
- 炎の熱で励起されやすい
- 励起 → 基底状態への戻り(発光)が非常に起こりやすい
という構造になっています。
他の元素は電子が複雑に詰まっていて、
ここまで単純に励起・発光が起こりません。
💡 3. ナトリウムのD線は“吸収も強い”ため、目に入りやすい
ナトリウムのD線は、発光だけでなく 吸収も非常に強い ため、
人間の目に届く光としても強調されます。
これはスペクトル線の「遷移確率(オシレーター強度)」が大きいことを意味します。
スペクトル線の遷移確率(オシレーター強度)とは、原子や分子が特定の光を吸収・放出するしやすさを示す指標
🌍 4. ナトリウムは環境中に微量でも存在し、炎色が“汚染”として現れる
ナトリウムは地球上に非常に多く、
- 手の汗
- 空気中の塩分
- 器具の汚れ
- 試薬の微量不純物
など、どこにでも付着します。
そして 微量でも強烈に光る ため、
他の元素の炎色を簡単に“圧倒”してしまいます。
🎯 まとめ:ナトリウムの炎色が強い理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① D線の遷移確率が非常に高い | 黄色の光が出やすい |
| ② 2本のD線が重なり強度が倍増 | 他の元素より明るく見える |
| ③ 最外殻電子が1つで励起されやすい | 熱で簡単に光る |
| ④ 微量でも存在し、汚染として光る | 他の炎色を隠す |
つまり、
ナトリウムは「光りやすい構造」+「強烈に見える波長」+「どこにでもある」
という三拍子が揃っているため、炎色反応で圧倒的に強く見えるのです。
演習問題 006 自動採点
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