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例 特定毒物 劇物
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毒物劇物取扱者試験問題

酸・塩基反応01


問題

水に溶かしたとき中性を示す塩の組み合わせとして、適切なものは次うちどれか。

ア $\ce{CH3COONa}$ イ $\ce{K2CO3}$ ウ $\ce{NH4Cl}$ エ $\ce{NaCl}$ オ $\ce{Na2SO4}$

ア、イ

ア、ウ

イ、ウ

ウ、オ

エ、オ

山梨県


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解  説

選択肢(5)エ、オが適切です。

一般的には、強酸と強塩基が中和したときに生じる塩は、水に溶解すると中性を示します。

$\ce{NaCl}$と$\ce{Na2SO4}$は強酸と強塩基からできており、かつ正塩(H、OHも残っていない)なので、水溶液にしたときの液性は「中性」である。

$\ce{CH3COOH + NaOH \longrightarrow} \color{red}{CH_{3}COONa} + \ce{H2O}$

$\ce{2KOH + CO2 \longrightarrow} \color{red}{K_{2}CO_{3}} + \ce{H2O }$

$\ce {{NH3}+ HCl \longrightarrow } \color{red}{NH_{4}Cl}$

$\ce {HCl + NaOH \longrightarrow } \color{red}{NaCl} + \ce{H2O}$

$\ce{2NaOH + H2SO4 \longrightarrow } \color{red}{ Na_{2}SO_{4}} + \ce{2H2O }$

簡単な解説は以上ですが、もう少し詳しく見てみましょう。

代表的な塩を示します。

正塩 HもOHも残っていない塩

・$\ce{NaCl}$ 塩化ナトリウム

・$\ce{Na2SO4}$ 硫酸ナトリウム

・$\ce{MgCl2}$ 塩化マグネシウム

・$\ce{CH3COONa}$ 酢酸ナトリウム

・$\ce{Na2CO3}$ 炭酸ナトリウム

・$\ce{(NH4)2SO4}$ 硫酸アンモニウム

酸性塩 Hが残っている塩

・$\ce{NaHCO3}$ 炭酸水素ナトリウム

・$\ce{NaHSO4}$ 硫酸水素ナトリウム

・$\ce{NaH2PO4}$ 燐酸二水素ナトリウム

・$\ce{Na2HPO4}$ 燐酸水素二ナトリウム

塩基性塩 OHが残っている塩

・$\ce{MgCl(OH)}$ 塩化水酸化マグネシウム

・$\ce{Cu2CO3(OH)2}$ 炭酸二水酸化二銅(Ⅱ)

中和による塩の生成

塩のタイプ 水溶液の液性 代表的例
強酸と強塩基の正塩 中性 $\ce{NaCl}$、$\ce{Na2SO4}$、$\ce{KNO3}$
弱酸と強塩基の正塩 塩基性 $\ce{CH3COONa}$、$\ce{Na2CO3}$
強酸と弱塩基の正塩 酸性 $\ce{NH4Cl}$、$\ce{CuSO4}$

酸と塩基が中和し、塩と水ができますが、塩を定義してみます。

酸由来の陰イオンと塩基由来の陽イオンからなるイオン結合性物質‥塩

下記の塩の元々の酸・塩基を考えてみます。

① $\ce{NaCl}$

Na:$\ce{NaOH}$由来 強酸

Cl:$\ce{HCl}$由来 強塩基

$\ce{Na^+}$に$\ce{OH^-}$を添えると元々の塩基が$\ce{NaOH}$だと分かります。

$\ce{Cl^-}$に$\ce{H^+}$を添えると元々の酸が$\ce{HCl}$だと分かります。

$\ce{ NaCl \underbrace {\longrightarrow}_{不可逆反応} Na^+ + Cl^-}$

元々は

$\ce{ HCl \underbrace {\longrightarrow}_{不可逆反応} H^+ + Cl- }$

$\ce{ NaOH \underbrace {\longrightarrow}_{不可逆反応} Na^+ + OH^- }$

水溶液中で電離後、4種類のイオンはそれぞれのイオンに分かれていた方が安定であるため何も生じませんので、液性は中性ということになります。

$\ce{NaCl}$塩化ナトリウムは、正塩であり、中性を示します。

② $\ce{ NH4Cl \longrightarrow NH4^+ + Cl^- }$

NH3由来 弱塩基

HCl由来 強酸

元々は

$\ce{ HCl \underbrace {\longrightarrow}_{不可逆反応} H^+ + Cl- }$
$\ce{HCl}$の電離は不可逆反応として扱います。

$\ce{ NH3 + H2O \underbrace {\leftrightarrows}_{可逆反応} NH4^+ + OH^- }$
$\ce{NH3}$は弱塩基であるため、その電離は可逆反応として扱えます。

上の式で、$\ce{NH4^+}$が増えると、それを減らそうとする向き(この場合、左向き)に反応が進行します。

この考え方は、平衡移動の原理、ルシャトリエの原理と呼ばれていて、しばしば毒物劇物取扱者試験にも登場します。

水溶液中の$\ce{OH^-}$はごくわずかです。

上式の両辺に$\ce{H^+}$を足して、$\ce{NH4^+}$が$\ce{H2O}$に反応した形にするため、左右を入れ替えます。

$\ce{NH4^+ + H2O \leftrightarrows NH3 + H3O^+ }$

塩の加水分解・中和反応の逆反応)

$\ce{NH4^+}$が増えると、それを減らそうとする右向きに反応が進行し$\ce{H3O^+ (H^+ と同等)}$が生じます。

$\ce{H^+}$が生じるということは、酸性であるということになります。

上の式は、$\ce{NH4^+}$のような弱塩基のイオンが、水分子に対して$\ce{H^+}$を与えるブレンステッドの酸として働いていることが分かります。

$\ce{H^+}$と$\ce{Cl^-}$は互いに何の反応もしないので、$\ce{ NH4Cl }$を水に溶かすと、$\ce{NH4^+}$の酸だけがあらわれ水溶液が酸性を示します。

強酸と弱塩基の正塩である$\ce{ NH4Cl }$塩化アンモニウムの水溶液は酸性となります。

③ $\ce{ CH3COONa \longrightarrow CH3COO^- + Na^+ }$

CH3COOH由来 弱酸

NaOH由来 強塩基

弱酸と強塩基の塩である酢酸ナトリウム$\ce{CH3COONa}$を水に溶かすと、これはイオン結合性物質(塩)であり完全にイオンに分かれます(電離度$α=1$)。

元々は

$\ce{ CH3COOH \leftrightarrows CH3COO^- + H^+ }$

$\ce{NaOH \rightarrow Na^+ + OH^-}$

ここで$\ce{NaOH}$の電離は不可逆反応として扱います。

溶媒の水分子もごくわずかに電離し平衡状態になっています。

$\ce{ H2O \leftrightarrows H^+ + OH^- }$

$\ce{CH3COO^-}$は水の電離で生じた$\ce{H^+}$と結びつきやすいので、$\ce{CH3COO^-}$の一部は$\ce{H^+}$と結びついて、酢酸分子に戻るので$\ce{H^+}$が不足になります。

酢酸の式の両辺に$\ce{OH^-}$を足して、左右を入れ替えます。

$\ce{ CH3COO^- + H2O \leftrightarrows CH3COOH + OH^- }$

       (加水分解)

$\ce{CH3COO^-}$が増加すると、それを減らそうとする向きに反応が進行し$\ce{OH^-}$が生じます。

すなわち、塩基性を示すことになります。

上式は、弱酸のイオンである$\ce{CH3COO^-}$が弱酸の分子$\ce{CH3COOH}$に戻る際に、水分子から$\ce{H^+}$を受け取るブレンステッドの塩基として働いていること、および、塩の加水分解は、中和の逆反応に相当するするものと分かります。

弱酸と強塩基の塩である$\ce{ CH3COONa }$酢酸ナトリウムの水溶液の液性は塩基性を示すことになります。

④$\ce{ NaHSO4 \longrightarrow Na^+ + HSO4^- } $

NaOH由来 強塩基

H2SO4由来 強酸

元々は

第一電離 $\ce{H2SO4 \rightarrow H^+ + HSO4^-}$

第二電離 $\ce{HSO4^- \leftrightarrows H^+ + SO4^2- }$

     $\ce{NaOH \longrightarrow Na^+ + OH^- }$

硫酸の二段階目の電離度は一段目に比べて小さい。

$\ce{HSO4^- \leftrightarrows H^+ + SO4^2- }$

上式で$\ce{HSO4^-}$が増加するとそれを減らそうとする右向きに反応が進行し$\ce{H^+}$が生じます。

すなわち、酸性を示すことになります。

強酸強塩基からなる酸性塩の硫酸水素ナトリウム$\ce{ NaHSO4 }$は、簡単にあらわすと、

$\ce{ NaHSO4 \longrightarrow Na^+ + H^+ + SO4^2- }$

と電離して、酸性を示します。

強酸と強塩基の正塩である$\ce{ NaHSO4}$硫酸水素ナトリウムの水溶液の液性は、酸性を示します。

これは例外の典型的なものです。

⑤ $\ce{ NaHCO3 \longrightarrow Na^+ + HCO3^- }$

NaOH由来 強塩基

H2CO3由来 弱酸

元々は

第一電離 $\ce{ H2CO3 \leftrightarrows H^+ + HCO3^- }$

第二電離 $\ce{ HCO3^- \leftrightarrows H^+ + CO3^2- }$

     $\ce{NaOH \leftrightarrow Na^+ + OH^- }$

$\ce{HCO3^-}$が、$\ce{CO3^2-}$になるより$\ce{H2CO3}$になる方が優勢です。

$\ce{ H2CO3 \leftrightarrows H^+ + HCO3^- }$

上式の両辺に$\ce{OH^-}$を足して、左右を入れ替えます。

$\ce{HCO3^- + H2O \leftrightarrows H2CO3 + OH^- }$

$\ce{HCO3^-}$が増えるとそれを減らそうとする右向きに反応が進行し$\ce{OH^-}$が生じます。

すなわち、塩基性となります。

別な言い方をすれば、炭酸$\ce{H2CO3}$の第一電離はわずかしか起こりませんが、炭酸の第二電離は第一電離に比べてさらに無視できるくらいほど小さいと考えてよい。

すなわち、、$\ce{HCO3^-}$には酸としての$\ce{H^+}$が残っていますが、酸の性質($\ce{H^+}$を出す)は極めて弱く、むしろ塩基の性質($\ce{H^+}$をもらう)性質の方が強いので、水溶液は弱塩基性を示すことになります。

$\ce{ NaHCO3}$炭酸水素ナトリウムは、酸性塩ですが、水溶液は塩基性です。

最後に

$\ce{K2CO3 \longrightarrow 2K^+ + CO2^{2-} }$

$\ce{KOH}$由来 強塩基

$\ce{NaHCO₃}$由来 弱酸

元々は

$\ce{KOH \longrightarrow K^+ + OH^- }$

$\ce{NaOCO3 \longrightarrow Na^+ + HCO3^- }$

$\ce{ HCO3^- \leftrightarrows H^+ + CO3^2- }$

上式の両辺に$\ce{OH^-}$を足して、左右を入れ替えます。

$\ce{CO3^2- + H2O \leftrightarrows HCO3^- + OH^- }$

     (加水分解)

$\ce{CO3^2-}$が増加するとそれを減らそうとする右向きに反応が進行し$\ce{OH^-}$が生じます。

すなわち、塩基性を示すことになります。

簡単には、$\ce{K₂CO₃}$という化学式から、この塩は$\ce{KOH}$と$\ce{NaHCO₃}$の塩だと推測できます。

このとき、$\ce{KOH}$は強塩基、$\ce{NaHCO₃}$は弱酸なので、$\ce{K₂CO₃}$は塩基性です


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