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酸化数・酸化還元反応(8問)
毒物劇物取扱者試験は、基本的問題のみが出題されまのでサクサク解ける問題が多いです。
あまり凝った問題は出ませんので確実に得点していくことを願っています。
問題01
硫酸酸性下で過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水溶液を反応させたときの化学式として適切なものは次のうちどれか。
ただし、過マンガン酸カリウムの化学式は、$\ce{KMnO4}$、過酸化水素の化学式は$\ce{H2O2}$であり、$\ce{MnO4-}$と$\ce{H2O2}$は、次のように働く。
$\ce{ MnO4- + 8H+ + 5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} + 4H2O}$
$\ce{ H2O2 \rightarrow O2 + 2H+ + 2e^{-}}$
東京都 2021年
解 説
$\ce{ MnO4- + 8H+ + 5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} + 4H2O}$ ‥‥①
$\ce{ H2O2 \rightarrow O2 + 2H+ + 2e^{-}}$‥‥②
過酸化水素水に硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液を加えたときの反応式を書いてみましょう。
細かく丁寧に書きます。
$\ce{KMnO4}$は、$\ce{MnO4-}$と$\ce{K+}$に電離し、 $\ce{K+}$イオンはこの反応では全く変化していない($\ce{K+}$のまま)ので、反応に参加していないから、半反応式には出しません。
まず、硫酸酸性水溶液中では、過マンガン酸イオン$\ce{MnO4^{−} }$はマンガンイオン$\ce{Mn^{2+}}$へと変化する酸化剤であるので、左辺に反応前の物質(反応物)、右辺に反応後の物質(生成物)を書きますから、半反応式は次のようになります。
\[ \begin{align*} \ce{ \underbrace{ \underbrace{Mn}_{酸化数+7} \underbrace{O4- }_{酸化数-8} }_{全体の酸化数-1} \rightarrow \underbrace{Mn^{2+} }_{酸化数+2} } \end{align*} \]
上式で左辺$\ce{Mn}$の酸化数は$+7$、右辺は$+2$で酸化数が減少していますので$\ce{5e^{-}}$を相手から奪い酸化させ、自らは還元しています。
\[ \begin{align*} \ce{ MnO4- +5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} } \end{align*} \]
上式左辺の電荷(イオンの価数)が$-1-5=-6$で右辺が$+2$ですから、左辺に$\ce{8H+}$を加えます。
\[ \begin{align*} \ce{ MnO4- + 8H+ +5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} } \end{align*} \]
最後の両辺の酸素原子を合わせるには、左辺が$\ce{O4}$ですから、右辺に$\ce{4H2O}$を加えます。
\[ \begin{align*} \ce{ MnO4- + 8H+ +5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} + 4H2O } ‥‥③ \end{align*} \]
これは題意により与えられています。
また、過酸化水素$\ce{H2O2}$水は硫酸酸性の$\ce{KMnO4}$水溶液を加えた場合には、$\ce{H2O2}$は還元剤として働き、酸素$\ce{O2}$へと変化します。
したがって、半反応式は次のようになります。
\[ \begin{align*} \ce{H2O2 \rightarrow O2 + 2H+ + 2e^{−} }‥‥④ \end{align*} \]
これも題意により与えられています。
ここからが実際の解答となります。
式③と式④において電子の数を比較すると、電子の数が等しくないのでこれを揃えます。
式③の両辺に$2$をかけると次のようになります。
\[ \begin{align*} \ce{ 2MnO4- + 16H+ +10e^{-} \rightarrow 2Mn^{2+} + 8H2O} ‥‥⑤ \end{align*} \]
また、式④の両辺に$5$をかけると次のようになります。
\[ \begin{align*} \ce{5H2O2 \rightarrow 5O2 + 10H+ + 10e^{−} } ‥‥⑥ \end{align*} \]
これより、式⑤と式⑥の電子の数はどちらも$\ce{10e^{−}}$となり等しくなるので、 式⑤+式⑥をすると
\[ \begin{align*} \ce{ 2MnO4^{−} + 6H+ + 5H2O2 \rightarrow 2Mn^{2+} + 8H2O + 5O2} ⑦ \end{align*} \]
これがこの反応のイオン反応式です。
最後に、省略したイオンを加えます。
この反応は、「硫酸で酸性にした過マンガン酸カリウム水溶液」を扱っています。
すなわち、式⑦の左辺の$\ce{ 2MnO4^{−} }$ は
$ \color{blue}{ \ce{2KMnO4 \rightarrow 2K+ + 2MnO4^{−} } }$
の電離によって、$\ce{6H+}$は
$ \color{red} {\ce{3H2SO4 \rightarrow 6H+ + 3SO4^{2−} } }$
の電離によって生じたものです。
したがって、式⑦のイオン反応式の両辺に省略されている$\ce{2K+}$を加え、
\[ \begin{align*} \ce{ & 2MnO4^{−} + 2K+ + 6H+ + 5H2O2 \rightarrow \\ & 2Mn^{2+} +2K+ + 8H2O + 5O2 \\ & 2KMnO4 + 6H+ + 5H2O2 \rightarrow \\ & 2Mn^{2+} +2K+ + 8H2O + 5O2 } \end{align*} \]
さらに$\ce{3SO4^{2−} = SO4^{2−} + SO4^{2−} + SO4^{2−} }$を加えて整理すると、
\[ \begin{align*} \ce{ & 2KMnO4 + \underbrace{6H+ + 3SO4^{2−} }_{3H2SO4} + 5H2O2 \rightarrow \\ & \underbrace{ 2Mn^{2+} +SO4^{2−} + SO4^{2−} }_{2MnSO4} + \underbrace{ 2K+ + SO4^{2−} }_{K2SO4} + 8H2O + 5O2 \\ \\ & 2KMnO4 + 3H2SO4 + 5H2O2 \rightarrow \\ & 2MnSO4 + K2SO4 + 8H2O + 5O2 } \end{align*} \]
したがって、選択肢(1)が適切ということになります。
典型的基礎問題ですが、キチンと理解していないと痛いところを突かれた感じのある問題です。
基礎の重要性を痛感させられる問題でした。
問題02
濃度が不明の過酸化水素水溶液 $10.0[mL]$に希硫酸を加えて酸性にし、$0.100[mol/L]$の過マンガン酸カリウム水溶液を$8.40[mL]$加えると、溶液がわずかに赤紫色に着色した。過酸化水素水溶液のモル濃度$[mol/L]$として 適切なものはどれか。
ただし、過マンガン酸カリウムの化学式は、$\ce{KMnO4}$、過酸化水素の化学式は$\ce{H2O2}$であり、$\ce{MnO4-}$と$\ce{H2O2}$は、次のように働く。
$\ce{ MnO4- + 8H+ + 5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} + 4H2O}$
$\ce{ H2O2 \rightarrow O2 + 2H+ + 2e^{-}}$
東京都 2020年
解 説
酸化還元反応を利用して濃度既知の酸化剤(又は還元剤)から、還元剤(又は酸化剤)の濃度を決定する操作を酸化還元滴定といいます。
反応容器に$\ce{H2O2}$が残っている間は、滴下した$\ce{MnO4-}$(赤紫色)は反応して直ちに$\ce{Mn^2+}$(無色)になります。
しかし、$\ce{H2O2}$がなくなると、$\ce{MnO4-}$の色が消えなくなります。
このときの滴定が終点となります。
したがって、酸化剤の$\ce{KMnO4}$が指示薬としての役割も兼ねていることになります。
$\ce{ MnO4- + 8H+ + 5e^{-} \rightarrow Mn^{2+} + 4H2O} ‥① $
$\ce{ H2O2 \rightarrow O2 + 2H+ + 2e^{-}} ‥‥‥‥② $
①より過マンガン酸カリウム$\ce{MnO4-} \ \ 1[mol]$ は電子$5[mol]$、$\ce{5e-}$を受け取り、過酸化水素$\ce{H2O2} \ \ 1[mol]$は電子$2[mol]$、$\ce{2e-}$を放出します(与えます)。
酸化剤と還元剤が過不足なく反応する点を当量点といいます。
当量点では、
酸化剤の受け取った$\ce{e-}$の物質量=還元剤が与えた$\ce{e-}$の物質量
の関係が成り立ちます。
過マンガン酸カリウム溶液のモル濃度は$0.100[mol/L]$、これを$8.40[mL]$用いることで濃度不明$x[mol/L]$の過酸化水素$10.0[mL]$と総電子数は等しくなります。
\[ \begin{align*} & 5 \times 0.100 \times 8.40 = 2 \times x \times 10.0 \\ \\ & x = 0.210[mol/L] \end{align*} \]
代表的な酸化剤である$\ce{KMnO4}$は、水に溶かすと$\ce{MnO4^-}$を生じて濃い赤紫色を示します。
硫酸酸性にした還元剤($\ce{(COOH)_2 , H2O2 ,FeSO4 }$など)の水溶液に、$\ce{KMnO4}$水溶液を滴下していくと、$\ce{MnO4^-}$は還元剤として反応して$\ce{Mn^2+}$(希薄溶液中では無色)に変化します。
しかし、還元剤がすべて反応し終わる(この点を当量点)と$\ce{MnO4^-}$の色がきえなくなり溶液全体が淡赤色を示しますので、この滴定の当量点を見つけられます。
問題03
酸化還元滴定に関する次の文章の( )に当てはまるものとして、適切なものはどれか。
濃度がわからない過酸化水素$10[mL]$をホールピペットを用いてメスフラスコにとり、水を加えて正確に$100[mL]$とした。この溶液$10[mL]$をホールピペットを用いてコニカルビーカーにとり、
希硫酸を加え、$0.050[mol/L]$の過マンガン酸カリウム溶液をビュレットで滴下したところ、$12.0[mL]$を加えたところで赤紫色が消えなくなった。過酸化水素と過マンガン酸カリウムが過不足なく反応したものとすると、
この過酸化水素の濃度は( )である。
化学方程式
\[
\begin{align*}
\ce{2KMnO4 + & 5H2O2 + 3H2SO4 \rightarrow \\
& 2MnSO4 + 5O2 + 8H2O + K2SO4 }
\end{align*}
\]
神奈川県
解 説
過酸化水素水と過マンガン酸カリウムの中和滴定問題です。
過酸化水素$2[mol]$と過マンガン酸カリウム$5[mol]$が過不足なく中和しています。
題意より
$\ce{H2O2}$の物質量 $\times 2=\ce{KMnO4}$の物質量$ \times 5$
過酸化水素水の濃度を$x[mol/L]$とします。
溶液を$100[mL]$としたのち、そのうちの$10[mL]$を使用していますので、濃度は$0.1$倍になっています。
\[ \begin{align*} & \frac{x [mol]}{1000[mL]} \times 0.1 \times 10[mL] \times 2 = \frac{0.05[mol]}{1000[mL]} \times 12[mL] \times 5 \\ \\ & x[mol] \times 0.002 = 0.05[mol] \times 0.012 \times 5 \\ \\ & x[mol] \times 2 = 0.05[mol] \times 12 \times 5 \\ \\ & x[mol]=1.5[mol] \end{align*} \]
問題04
硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水を反応させたときに発生する気体として、適切なものは次のうちどれか。
埼玉県
解 説
硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水を反応させたとき、過マンガン酸カリウムが酸化剤としてはたらき、過酸化水素水が還元剤として働いています。
過酸化水素水は酸化されて(水素を失って・与えて・ぶん投げて)酸素となります。
還元剤としての過酸化水素の半反応式をしめします。
$\ce{H2O2 \rightarrow \underbrace{ O2 }_{酸素} + 2H+ + 2e-}$
問題05
過マンガン酸イオン($\ce{MnO4-}$)として、適切なものは次のうちどれか。
千葉県
解 説
過マンガン酸イオン($\ce{MnO4-}$)は1価の陰イオンですから、酸化数の総数は「-1」です。
酸素の酸化数は「-2」と決まっているため、$\ce{O4}$の酸化数は「-8」となります。
$\ce{Mn}$の酸化数$+(-8)=-1$
$\ce{Mn}$の酸化数$=7$
注意事項(酸素の酸化数の例外)
過酸化水素$\ce{H2O2 (H - O - O - H)}$のように、$\ce{- O - O - }$結合がある場合は、酸素の酸化数は「-1」として取り扱います。
問題06
酸化還元反応に関する次の文章の(イ)と(ロ)に当てはまるものとして、下の組み合わせのうち、適切なものはどれか。
$\ce{SO2 + Cl2 + 2H2O \rightarrow H2SO4 + 2HCl}$で表される反応で、$\ce{S}$原子の酸化数は$\ce{SO2}$の(イ)から、$\ce{H2SO4}$中の(ロ)に変化している。
すなわち、$\ce{SO2}$は(ハ)されており、この反応では(ニ)剤として働いている。
埼玉県
解 説
$\ce{SO2}$中の酸化数を確認します。
$\ce{S}$:+4
$\ce{O}$:-2
$\ce{H2SO2}$中の酸化数を確認します。
$\ce{H}$:+1
$\ce{S}$:+6
$\ce{O}$:-2
$\ce{S}$は酸化数が+4から+6に増加し、すなわち、自身が酸化されていますので、還元剤としてはたらいています。
問題07
次式の反応として、適切なものはどれか。
$\ce{ MnO2 + 4HCl \rightarrow MnCl2 + Cl2 + 2H2O}$
千葉県
解 説
反応前後の各原子の酸化数を比較し、酸化数が増加した原子は酸化され、酸化された原子を含む物質は酸化されたと判断します。
また、酸化数が減少した原子は還元され、還元された原子を含む物質は還元されたと判断します。
以上のように、酸化数の変化がみられた反応は酸化還元反応ですが、酸化数の変化がみられない反応は酸化還元反応でない別の反応です。
一般的には、化合物から単体、単体から化合物が生成する反応は、酸化還元反応と言えます。
この化学反応式は、二酸化マンガンに塩酸を加えると、二酸化マンガンが還元されて、塩素が酸化される酸化還元反応をあらわします。
$\ce{ \underbrace{Mn}_{+4}O2 + 4H\underbrace{Cl}_{-1} \rightarrow \underbrace{Mn}_{+2}Cl2 + \underbrace{Cl2}_{0} + 2H2O }$
$\ce{Mn}$の酸化数の減少:+4→+2
$\ce{Cl}$の酸化数の減少:-1→ 0
代表的な物質の酸化数の変化を示します。
塩素
$\ce{ \underbrace{Cl2}_{0} \rightarrow 2\underbrace{Cl^{-} }_{-1} }$自身の酸化数が減少→酸化剤
過マンガン酸カリウム
$\ce{ \underbrace{Mn}_{+7}O4- \rightarrow \underbrace{Mn^{2+}}_{+2} }$自身の酸化数が減少→酸化剤
蓚酸
$\ce{ (\underbrace{C}_{+3}OOH ) _2 \rightarrow 2\underbrace{C}_{+4}O2 }$自身の酸化数が増加→還元剤
硫化水素
$\ce{ H2\underbrace{S}_{-2} \rightarrow \underbrace{S}_{0} }$自身の酸化数が増加→還元剤
沃化カリウム
$\ce{ 2\underbrace{I^{-}}_{-1} \rightarrow \underbrace{I2}_{0} }$自身の酸化数が増加→還元剤
濃硝酸
$\ce{ H\underbrace{N}_{+5}O3 \rightarrow \underbrace{N}_{+4}O2 }$自身の酸化数が減少→酸化剤
問題08
硫酸酸性下の過マンガン酸カリウムと過酸化水素の化学反応式において、(イ)~(ハ)に当てはまる係数として、下の組み合わせのうち、適切なものはどれか。
\[
\begin{align*}
\ce{ 2KMnO4 &+ (イ)H2O2 + 3H2SO4 \rightarrow \\
&(ロ)MnSO4 + K2SO4 + (ハ)O2 + 8H2O }
\end{align*}
\]
東京都
解 説
これは酸化還元反応問題ではありませんが、過マンガン酸カリウム・過酸化水素系の問題として書きました。
反応式の係数合わせを行います。
$\ce{2KMnO4}$より(ロ)の係数が2で決まります。
これはマンガン原子$\ce{Mn}$の数に注目すると、左辺が2個ですから、右辺も2個でなければなりません。
また反応式右辺の$\ce{8H2O}$より(イ)の係数が5と決定します。
これは水素原子の数に注目すると、右辺の水素原子の数は$8 \times 2=16$であり、左辺の硫酸中に含まれる水素原子の数は$3 \times 2=6$であるため、過酸化水素中に含まれる水素原子の数は、 $16 - 6 = 10$となります。
このため、水素の計算上の数は$\ce{10H}$ですが、水素は二原子分子ですので $\ce{5H2}$と表しますので、(イ)=5となります。
酸素原子$\ce{O}$の数に注目すると、左辺は$(2 \times 4)+(5 \times 2)+(3 \times 4)=30$個です。
右辺の酸素分子以外の酸素原子の数は、$2 \times 4 + 4 + 8 = 20$個であるため、酸素分子における酸素原子の数は$30 - 20 = 10$個となります。
このため、酸素の計算上の数は$\ce{10O}$ですが、酸素は二原子分子ですので $\ce{5O2}$と表しますから、(ハ)=5となります。
以上
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