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毒物劇物取扱者試験問題
アレニウス、ブレンステッド・ローリーの定義
問題
アンモニア水中で、アンモニアは次式のように電離する。これについて述べた（イ）～（ニ）の中で正しい組み合わせとして、適切なものは次のうちどれか。
$ \qquad \qquad \quad \ce{NH3 ＋ H2O \rightleftarrows NH4^+ ＋ OH^-}$
（イ）アレニウスの定義によれば、$\ce{NH3}$は塩基で$\ce{H2O}$は酸である。
（ロ）アレニウスの定義によれば、$\ce{NH3}$は塩基で$\ce{H2O}$は酸でも塩基でもない。
（ハ）ブレンステッド・ローリーの定義によれば、$\ce{NH3}$と$\ce{NH4^+}$はいずれも酸である。
（二）ブレンステッド・ローリーの定義によれば、$\ce{NH3}$は塩基で$\ce{NH4^+}$は酸である。
オリジナル
解 説
アレニウスの酸・塩基の定義では、
“水溶液中で$\ce{H^+}$（$\ce{H3O^+}$）、$\ce{OH^-}$を放出する物質をそれぞれ酸・塩基である”としています。
$\ce{NH3}$は、分子内に$\ce{OH}$を含んでいません。
しかし、$\ce{NH3}$は、水$\ce{H2O}$と反応して$\ce{OH^-}$を生じるので塩基です。
ここで、水$\ce{H2O}$は酸とも塩基とも定義されない中性物質です。
ブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義では、
”酸とはプロトン$\ce{H^+}$を相手に与えることができる物質、塩基とはプロトン$\ce{H^+}$を相手から受け取ることができる物質である”としています。
$ \qquad \qquad \quad \ce{ \overbrace{ \underbrace{ NH3 }_{塩基} ＋ \underbrace{ H2O }_{酸} }^{← H^+ } \rightleftarrows \overbrace{ \underbrace{ NH4^+ }_{酸} ＋ \underbrace{ OH^- }_{塩基} }^{H^+ →} }$
$\ce{NH3} $、 $\ce{OH^-} $は $\ce{H^+} $ を受け取るので塩基であり、$\ce{H2O} $、 $\ce{NH3^+} $は $\ce{H^+} $を放出するので酸です。
ブレンステッド・ローリーの定義によりますと、水$\ce{H2O}$のように、アレニウスの定義では酸でも塩基でもなかった物質が、酸、塩基のはたらきをすることがわかります。
すなわち、水$\ce{H2O}$は、相手物資によって酸にも塩基にもなりうる両性物質としてはたらくことがわかります。
また、酸・塩基のはたらきは相対的なものであり、相手次第で、酸としてはたらいたり、塩基としてはたらいたりすることがわかります。
この水$\ce{H2O}$のように、自分より強い酸に対しては塩基として、自分より強い塩基に対しては酸としてはたらくというように、そのはたらきはあくまでも相対的なものです。
水溶液中で水素イオン$\ce{H^+}$を放出する物質を酸、$\ce{OH^-}$を放出する物質を塩基とする
ブレンステッド・ローリーの定義
水素イオン$\ce{H^+}$を出す物質を酸、$\ce{H^+}$を受け取る物質を塩基とする
アレニウス、ブレンステッド・ローリーの定義の問題は、大きな出題頻度ではありませんが毎年、どこかの県で出題されたりしています。
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